プロジェクト

マンガンノジュール

南鳥島マンガンノジュール

南鳥島周辺の排他的経済水域

船を使った音波探査を進める中で、マンガンノジュールが密集している地域が見つかりました。南鳥島周辺で見つかった密集域の面積は約61,200 km2で、四国と九州を足し合わせた面積と同じ広さであることが分かっています。未調査の海域を調べればさらに新たな密集域が見つかる可能性があります。


また、南鳥島マンガンノジュールはコバルトに富んでいるのが特徴で、“国産のコバルト資源”として注目されています。ORCeNGの試算では、現在見つかっている密集域の中だけでも、約9.4億トンのマンガンノジュールが存在し、コバルトの資源量は約470万トンにもおよぶことが分かっています。これは、国内の年間のコバルト需要の300年分に相当します。


では、なぜこの場所で、マンガンノジュールが沢山つくられたのでしょう?

それを調べるために、年輪状の鉄・マンガン層を詳しく調べる必要があります。今までは、複雑な内部構造のサンプルを適切に分析することはできませんでしたが、最近ORCeNGでは、サンプルを切る前にX線CTスキャンを使って内部を観察しています。そうすることで、より適した場所や断面の分析ができるようになりました。また、微小領域蛍光X線分析装置を使うと、サンプルに含まれる化学成分を100ミクロン単位で細かく分析できます。これらの観察や分析の結果、海洋深層水が海域を何度も南から北へと流れたため、マンガンノジュールが次々と成長し増えていって密集域になったことが分かりました。ノジュール成長のきっかけを作った海洋深層水は、太平洋に分布する長大な海山列や海溝、さらには大きな海台に沿って、南極周辺から北上してきていると考えられています。


マンガンノジュールの層構造から推定される深層水の流れ


もっと知る

音波が映し出す南鳥島周辺のマンガンノジュールの分布

―世界初、海底資源の広域分布を可視化し面積を算出する方法を確立―


南極からの海洋深層水が“国産コバルト資源”を生み出した

―南鳥島周辺に広大なマンガンノジュール密集域が形成された原因を特定―