世界の海底には、レアアース泥、マンガンノジュール、マンガンクラスト、海底熱水鉱床と呼ばれる４種類の金属鉱物資源が存在することが知られています。

レアアース泥

レアアース泥（でい）は、海底の泥の中に含まれる小さな魚の歯や骨の破片に、海水に溶け込んでいたレアアースが濃集することによって作られます。水深約4,000〜6,000 mの平らな海底に分布しています。特に、太平洋の広大な範囲に分布することが知られており、インド洋からも報告されています。海底下10 m以内の浅い部分に分布している場所もあります。ハイテク製品を作る上で必要不可欠なレアアースを供給する重要な資源として近年特に注目されており、海底から泥を引き上げて、泥からレアアースを抽出し活用するための技術開発が進められています。

マンガンノジュール

マンガンノジュールは、直径2～15 cm程の丸い塊で、海底に転がっている固いものの周りに、海水に溶け込んでいた鉄やマンガンが酸化物として沈着し成長したものです。水深約3,500～6,500 mの平らな海底に分布しています。岩石の欠片やサメの歯・魚の骨など、あらゆる固いものがノジュールの中心核になっています。中心核から外側にかけて、古い部分から新しい部分へと年輪状に成長しますが、その成長スピードは非常に遅く、100万年で数mmしか成長しません。鉄やマンガンと一緒に、コバルト、ニッケル、銅、レアアースなどが沈着し濃集するので、それらの有用金属の供給源として注目されています。

マンガンクラスト

マンガンクラストは、マンガンノジュールと同じく、鉄マンガン層が海山斜面から山頂部の岩盤を覆うように層状に沈着し成長したものです。いわば「海山を核にしたノジュール」とでも表現できるでしょうか。厚みは数mmから数10 cm程で、水深約400～7,000 mに広く分布しています。海域によってはコバルトや白金に富むマンガンクラストが分布する海山があり、それらの有用金属の供給源として有望視されています。

海底熱水鉱床

海底熱水鉱床は、海底火山の下に存在するマグマによって熱せられた熱水が、海底面から噴出することで形成されます。熱水に含まれるさまざまな金属成分が、硫化物として析出し沈殿してできたもので、特に銅、鉛、亜鉛、金、および銀といった有用金属の供給源です。中央海嶺や背弧海盆に沿って活動する水深約700～2,000 mの火山の近傍で、幾つもの熱水噴出域が発見されています。